最終的な色は違うのですが、途中までの作業は全く一緒なので、2台分いっぺんに作業を進めます。
まずはクラックの補修から。
矢印で示した焼けて変色している部分が補修の後です。タンク後部の補修は、溶接中に新たにクラックが見つかったので、縦に2本追加で補修してあります。(溶接の熱で鉄板が赤くなるとクラックが見えやすくなります。)
センターの取り付け部分の補修は、クラック自体は全体の1/3ほどしか入っていなかったのですが、全周にわたって溶接します。これを一部分だけの溶接で済ませてしまうと、補修した所としていない所で強度に大きな差が出てしまい、また新たにクラックが入る原因になってしまいます。後でトラブルが出ないよう、丁寧に補修して行きます。
この後エアチェックして漏れが無いか確認して補修は終了。
上のタンクを裏から見た所です。
表は結構きれいでしたが、さすがに裏はサビサビです。純正のタンクの場合、どうしてもトンネル部の塗装が薄くなってしまうため、このように表はきれいなものでも裏側は錆びてしまいがちです。錆取り槽に漬け込んで完全に錆を除去します。
ただこのタンクの場合それほど深い錆ではないので、わりと短い時間つけ込んだだけで錆び取りが終わりました。
こちらはもうひとつのタンクです。
上のものに比べクラックなどの不具合は無いものの、錆の程度はかなり進行してしまっています。
こちらも錆取り槽に漬け込んで処理を行うのですが、あまり長い時間漬け込んでしまうと逆にピンホールが開いてしまったりするので、ある程度漬け込んでも落ちない錆はワイヤーブラシなどでこすり取ります。
万が一ピンホールが開いてしまうと一からやり直しになってしまいますからね。
上のタンクの拡大画像です。
錆を取った後のこまかい凹みが見えるでしょうか? これらをすべてパテで修正し、サフェーサーを塗ります。
ここまでの作業は全て二つのタンク同時進行で行う為、錆取りをしてからサフェーサーをかけるまで、新たな錆が出ないよう手早く作業を進めます。
今日は地味な画像ですが、塗装屋さんの仕事の内容の8割はこんな感じの作業です。
よく言われる事ですが、下処理がしっかりと行われていないと どんなに頑張ってもきれいな仕上がりにはなりません。また、今回の様に古い車両の場合、ここで錆の根治をしっかりとやっておけば 長期間にわたって安心して使用する事が出来ます。
またまたつづく。