W3リペイントの続きです。
今回のお客さまは1度塗装で「嫌な思い」をしてしまっているので今度こそ失敗は許されません。そのぶん余計に気を遣いますが、やりがいのある仕事です。
ウチではこのくらいのタンクとサイドカバーがまるまる入る「剥離槽」と「錆取り槽」があります。
どぶ漬けで一晩漬けておくと画像の様に表も裏もきれいに錆が落ちます。また、この錆取り液は錆取り後に素早く水気を切り、且つ温度を上げることで防錆効果も発揮します。
そもそも「塗装」の第一の目的は「防錆」な訳ですから下地に錆が残っていたのでは話になりません。虫歯と同じでここで根治させておかないと後々また大変なことに成ってしまいます。
W3は右サイドカバーがオイルタンクになっています。
錆を落とした跡が虫食いの様になっているのが分かるでしょうか?この細かなへこみをパテでうめた後サフェーサーを塗ります。
その間水分は厳禁です。いくら防錆効果があるとは言え所詮むき出しの鉄板ですからここで錆びさせてしまっては元も子もありません。錆取りからサフェーサーまでの作業は一気に行います。
完成画像です。
以前Wシリーズマニアの方から運良く非常に程度の良い当時物のタンクを御借りしたことがあり、その際ラインの入り方を型取りし、色の方もほぼ完璧に調色してコピーいたしました。
特にこの色はカワサキが後になって出した再販タンクでさえ全く違う色になっており、相当なマニアでも本物の色が分からない状態になっています。
実際の塗装は「本当に当時こんな事やっていたの?」と疑いたくなる様な凝った塗装になります、がその説明はまたの機会に...。(そういえばこのタンクの「黄色」バージョンの塗装がモトメンテナンス紙に紹介されていましたね。)
仕上がりは完璧です。純正塗装と見分けがつく人はまずいません。
独特のパール感が分かるでしょうか?
このパールもキャンディーブルーも国産の塗料ではありません。カワサキの塗装に対する進んだ考え方に驚かされます。
余談ですが初期型ゼファー400の純正色「キャンディーアトランティックブルー」はこのWシリーズの流れを汲む色です。