つづきです。
で、「難問」の解決編ですが...w
テーマは二つです。
ひとつは、前回の破損状況の詳細で検証した通り。
「制作者の意図したピボット周りの柔軟性を保ちつつ機械的強度を上げる事」です。
要はクランクケース側の当り面の強度を上げてやればキッチリとシャフトが締め込める筈なので...
こんな感じでカラーを作りました。(真ん中のストレートのカラーは元々入っていたヤツです。)
相変わらず当り面は片肉1.5mmと狭いですが、今度は鉄同士なので締め込んで行っても座屈する事は無いでしょう。
ここが緩まなければ中のシャフトが折れる事も無い筈です。
大丈夫そう...かな?
それからもうひとつのテーマ。
「シール性の向上」です。
前回は書きませんでしたが、このピボット周り、シールに関してもかなりいい加減でして、なんとな〜く左右からゴムのワッシャーを挟んでいるだけ。 走行時のホコリも、洗車の時の水も入り放題...「走行毎オーバーホール前提」の様な作りです。。。
そりゃね、「そんなら毎回オーバーホールすりゃ良いじゃん」って話しなんですがね...ライダーさん達は普段は普通に「社会人」をやっている訳で、皆さん限られた時間をやりくりしてレースをやっているのです。専属のメカニックが居る訳でもあるまいしメンテナンスは楽な方が良いに決まっています♪
ってことで...
スイングアーム側のカラーをこんな風に細工してみました。
外側のシールは国産車の物を流用。外側からカバーする一般的なものです。
内側は...ちょうど良く隙間を埋めるオイルシールでもあれば良かったんですけどねぇ。。。
なんせ「インチ」なもんで、うまいサイズの物を探す事が出来ませんでした。
だもんで、アルミのカラーをOリングで挟み込む作戦。 これでシールはバッチリ。
シャフトはSRの純正を使いますので(寸法がちょうど良かった。)グリスガンでガッツリ注油出来ます。
んで、昨日ご本人様が来店されまして、説明を交えながら二人で作業しました。
最後にシムで微調整しながら組みあげて、跨がってストロークさせてニンマリ♪
「イイねぇ...」と自画自賛でございます。
こうやって画像にして説明してしまえば何ちゃ無い作業ですけどね。
元々の制作者の意図を理解するところから始まって、それを損なわない様に、それでいてネガだけ消せる様に考えるのはナカナカ時間がかかります。
もちろんその「考える時間」はお客様の請求に上乗せされる事は無く、ワタシがいただくのは実際の作業に掛かった時間工賃のみです。
ってな訳で、相変わらずの薄利多売で、ガンガン仕事をこなさないと儲からないのです。
皆様今年も
ドシドシお仕事くださいませませ。
「ネタ大歓迎!!」でございます。